「できればしっかり辞めたかった」退職代行サービス利用者を「甘え」と批判する人が知らない"真実"

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「モームリ」のアドトラック(写真:編集部)

「できればしっかり辞めたかった」――。退職代行サービスの利用経験者を何人も取材してきた筆者は、涙を浮かべながらこう話す若者に出会ったことがある。

退職代行サービス「モームリ」の運営企業が「非弁行為」の疑いで家宅捜索を受けたことを機に、SNSでは退職代行そのものへの批判が目立つようになった。モームリの件は捜査の行方を見守るしかないが、使うほかないところまで追い込まれた人は確かに存在する。

「すぐに辞める若者が増えた」わけではない

退職代行の報道では「すぐに辞める若者が増えた」と論じられることもある。しかし、厚生労働省の統計を見ると、新卒3年以内の離職率は、大卒者で約30%、高卒者で約40%と、35年間ほとんど横ばいで推移している。新社会人が3年以内に会社を辞めることは、現代の若者に限った話ではない。この点は前提として認識しておく必要がある。

そのうえで、退職代行を利用している人の年齢層を見ていきたい。東京商工リサーチが企業を対象に実施したアンケート調査によると、退職代行を利用した人の60.8%が20代だった。この結果だけを見ると「交渉できない若者が増えた」という解釈も成り立ちそうだ。

しかし、退職代行の利用者に取材を重ねると、「精神的な負担を感じながら仕事を続けざるを得なかった結果、自分では退職を切り出せなくなり、退職代行に頼らざるを得なくなった」という声を聞く機会が多い。

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