日本企業の「両立支援」は、なぜ裏目に出る? 「長く働く」と「管理職になる」は、まったく別
平成23年社会生活基本調査「生活時間配分の各国比較」によれば、末子が6歳以下(日本、アメリカは5歳以下)の共働き夫婦が、1日あたりに家事と家族のケアに使う時間は以下の通りです。
ここに挙げた日本以外の4カ国は、管理職に占める女性の比率がすでに30%を超えていますが、これらの国と比べても、日本の夫が家事と家族のケアに使う時間が際立って短いことがわかります。
また、共働き世帯であるにも関わらず、日本人の妻は夫より4時間以上多く家事労働をしています。家事労働負担が女性に極端に偏っている現状では、女性はこれ以上、仕事に時間を費やせません。つまり、妻が管理職を目指すためには、夫が妻の家事労働時間を分担することが不可欠です。
介護従事者では、40%が男性
とはいえ、男性が家事労働を理由に時短勤務や休暇取得をするにはまだまだ企業側の理解が不足しており、風当りが強いのが現状。「2030」という目標の実現を、日本や企業の重要な生き残り戦略として位置付けるのであるならば、長時間労働の見直しを大前提に、男性が家事労働に参加しやすいような環境作りを促すしか、道はないはずです。
出産や育児は、物理的に女性に負担が偏りがちですが、介護は男性が当事者になるケースも少なくありません。2011年の総務省の調査によると、家族の介護をしている人のうち、40%を男性が占めています。
出産や育児といった時間的制約がある女性が、力を発揮し、意欲と実力次第で管理職に登用され活躍できる環境作りは、介護という制約を背負った男性にも十分に応用することができるのです。
人材枯渇の問題が緊迫している日本ですべての企業にとって必要なのは、制約条件を抱えた社員でも活躍できる環境作りです。まさに、その試金石が「女性活躍推進」だと言えるでしょう。
ということで次回は、女性が「細く長く働けるようになる」ためではなく、「管理職を目指すようになる」ための施策について、もう少し踏み込んで具体的なアイデアを紹介していきたいと思います!
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