この玉木国民民主党のドタバタ劇を利用して、自民と維新は着々と裏取引を実行していったのだ。玉木代表は、どうあがいてもピエロ役を演じざるを得なかったので、彼の意思決定がどうであれ、結果は同じだった。立ち振る舞いはもう少しかっこいいピエロになれたかもしれないが、間抜けなピエロになってしまった、という程度の失敗にすぎない。
しかし、日本社会、日本国民は、こういう陰謀的なドラマ、権力争い、裏駆け引きが大好きだから、策を弄して勝った側をヤンヤと持ち上げ、賞賛する。まあ、オールドメディアの政治部の記者まで、自民と維新のつくった茶番劇場をそのまま受け止めているのはどうかしていると思うが(政権成立後の関係を考慮して、勝てば官軍側の批判はしないでおいたのだろうが)、その後の政党支持率に影響し、国民民主は少し下がり、維新は少し上がった。
そして、日本社会は、実は平和で、海外の多くの国に比べれば、政治的イシュー(論点)がほとんどないから(そう無邪気に思っているから。本来は外交上の転換期で重要な問題がある)、政策の見通しよりも、この茶番サーカスに喜んで、高市支持率は急騰した。
これには、高市氏の姿勢、キャラが大きく影響していることも事実である。政権成立後も、いろいろ次々と動く、発言も前向きという姿が、彼女は頑張っている、われわれのために働いてくれている、前向きで雰囲気だけでも日本もなんかちょっとだけ明るくなった、というようなことが国民に受けているのだと思う。
成功必然の日米首脳会談、媚びは「首相の勝ちパターン」
そして、いきなりのトランプ大統領との直接の首脳会談。そして、これは大成功で、トランプ大統領は上機嫌で韓国での中国の習近平主席との米中首脳会談に向かった。このトランプ大統領との会談がメディアでも絶賛され、支持率はさらに上がるだろう。
「首相として最重要な対米外交で高得点を上げ、首相としての実力も十分」、と言いたいところだが、しかし、そうではない。まず、これは必然的に成功する外交イベントだったし、さらに、彼女にとって最も得意なパターンだった。
なぜなら、トランプ大統領は日本が大好きで、そもそも2泊3日も日本にいる必要がないのに、好きで日本にいたのだ。つまり、シリアスな交渉もなく、案件もなく、習近平主席との会談に向けて、日本でオフを楽しみ、充電しただけだったからだ。失敗しようがない。
アメリカは何も譲らず、何の交渉もせず、日本のためにできることをやる!(日本を守る、とは言っていない。『中国に攻められても米軍は出動できない、武器は供与するけど』とウクライナへの対応と似たようなことができることの上限かもしれない)とリップサービスをしただけだ。


















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