「5万円突破で明らかにバブルの日経平均」と「ばく進中の高市首相人気」はいつ崩壊し、終わりを告げるのか

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競馬である。

今週末(日本時間11月1日と2日)は、アメリカで北米最大の競馬の日、ブリーダーズカップ(BC)デーである。

このBCデーの中でも最高峰の「BCクラシック(ダートコース、距離2000m、G1)」には、昨年に続き、日本から矢作芳人厩舎のフォーエバーヤング(馬番は5番)が参戦する。

BCクラシックでフォーエバーヤングが勝つ意味とは?

このレースに勝つことは世界的には、フランスの凱旋門賞(G1)を勝つことに匹敵するが、日本では少なくともレースに関しては欧州至上主義で、その認識がない。

しかし、日本で成功している種牡馬は北米産か北米産の直系であり、サンデーサイレンス、それに連なるディープインパクトやそのほか大勢がそうだし、スプリンター・マイラーの多くは、ロードカナロアなど多くがミスタープロスペクター系である。

なぜ、北米産の馬が成功するかというと、日本のレースはアメリカのダートのレースを勝つために要求される資質が共通しているからである。それは絶対的なスピードと反応のよさであり、欧州の少頭数競馬でじっくり構えて駆け引きをするレースとは、まったく異なる。それは、重い芝とかダートとか砂とかいう馬場(サーフェス)の問題ではないのである。

さらに、アメリカ競馬やその生産界は早熟志向であり、若駒の2歳戦からガンガン使い、2歳戦でもチャンピオン、3歳春でもダービーを勝ち、3歳秋には、ブリーダーズカップクラシックを勝ってしまうという馬が最高とされ、ここで引退してしまう馬も少なくない。早熟で成功する馬は、その後の成長性に欠ける馬もいるかもしれないが、確実に絶対的なスピードがDNAにより伝わることが見込まれるため、育成や調教で強くなった馬は評価されないからである。

悪く言うと、アメリカのレースは単純なレースでスタートからガンガン飛ばして、ばてた方が負け、というレースであり、1200mのダート戦であっても、1200メートルの間ずっと全力疾走する力が求められるため、むしろスタミナも、日本の芝コース2000メートルのレースよりも要求される。

つまり、スピードとスタミナが確実に試され、それに勝ち抜いた馬は、それを伝えられることが確実であり、アメリカのレース体系の方が、優秀な子孫を残すシステムとして、確実なのである。その分、深みがない、という見方を負け惜しみ的にしているのが欧州馬産界であるが、もしそういう考えをするのであれば、ドイツ流生産のように、徹底してドイツ由来のローカル血統を重視し、丁寧に血をつないでいくのがいい。

実際、これらのよいところを両方とって、ノーザンファームや社台ファームでは、主に北米の種牡馬を輸入し、ドイツ産の繁殖牝馬を輸入しているのである。

だから、フォーエバーヤングがブリーダーズカップクラシックを勝てば、それは日本的な名誉としては凱旋門賞には及ばないが、馬産の実質的成功という意味では、より大きな達成ということになる。全力で応援したい。

※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は11月8日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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