本連載第1回で論じたように18歳人口が60万人台という少子化時代が確定した今、大学は生き残りをかけた大規模な改革が必要な局面に立たされている。しかし、従来の大学特有の意思決定スタイル、教授会を中心とした合議制、部局間の縦割り、前例踏襲を重視する組織風土では、スピード感ある改革を実現することは極めて困難である。
こうした状況下で注目すべきなのは、国立大学の法人化や私立学校法改正といった制度変更で、大学の経営ガバナンスが大きく変容していることだ。とくに、学長や理事長といった経営トップのリーダーシップを軸とした意思決定体制への転換が進んでいる。今回は、こうした経営ガバナンスの変化を背景に、大胆な改革を実現した国立・私立大学の具体的事例を紹介するとともに、今後の大学での組織変革の重要ポイント5つを明らかにする。
国立大学法人化でトップダウンによる改革が実現
2004年の国立大学法人化は、国立大学の意思決定構造に根本的な変化をもたらした。従来の教授会中心のボトムアップ型意思決定から、学長を頂点とするトップダウン型への転換である。この変化を最大限に活用し、大胆な改革を実現した代表的事例として、東海国立大学機構と旧・東京工業大学(現・東京科学大学)を挙げたい。


















