何とかしたい具合の悪い頭の使い方--『学ぶとはどういうことか』を書いた佐々木毅氏(学習院大学法学部教授)に聞く

──この間、政治家についても評価は芳しくありません。

政治家も学んでもらわなければならない。政治は全体を見定めるのが究極的な姿だ。専門的な活動を組み合わせ、それらを段階で活用するのか、学び方がある。公式はないが、内外の政治家は歴史から学んできた。厳しい状況の下で先人がどのように決定したか。たとえば歴史書で自分だったらどうするか、疑似体験することはできる。この本では、賢い思慮を一語で賢慮と表現したが、それを養うのに役立つ。

もう一つは経験だ。政治は場数を踏む必要がある。若者に政治がわからないのはそれが原因と言う人もいる。その際に考えなければいけないのは、いい経験ができるかどうか、経験のクオリティの問題だ。大事なのは、組織の中にストック化されているある種の知恵を“経験知”として学ぶ。ローマの元老院など典型的だが、ある時期の英国の議会もそうだった。それによって次々とリーダーを生み出した。

──政治家は科学的に学ぶのではないのですね。

経験から学ぶ。政党はもともとよい経験をお互いにさせることによって人を育てる組織のはずだ。今2大政党はそうはなっていないが。

ささき・たけし
東京大学名誉教授。専攻は政治学、西洋政治思想史。1942年生まれ。同大学法学部卒業後、法学部助手、助教授を経て78年教授。2001年4月~05年3月第27代総長。05年教授を退任し、現職。著書に『政治学講義』『マキアヴェッリと『君主論』』『プラトンの呪縛』『政治学は何を考えてきたか』など。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年5月12日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

『学ぶとはどういうことか』 講談社 1260円 212ページ


  
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