こうした背景により、「名ばかりPM」が組織の大きな課題になっている。土台となる人的資源が枯渇しているのだから、PM個人のスキル不足、能力不足を責めても何も解決しない。
この認識を共有した上で筆者から、PMとチームメンバーがプロジェクトを回していくために必要な大前提の考え方とワークフローを提案する。
PMがやるべき3つのポイント
まず、大前提として必要なのが「PMもプロジェクトチームの一員である(一番偉いわけじゃなく、一つの役割であること)」という立場をチーム内で明確にすることだ。
マネジメント教育が根付いているとは言えない日本において、PMに昇格したらすぐに「なんか権限を持った偉い人」として扱われるのは酷である。
場合によっては、カバーする業務範囲はプロジェクトの計画立案からスケジュールや進捗、品質の管理、人材育成、発生した問題への対処など非常に幅広く、それらの業務に必要なスキルも経験もない状態で業務がスタートする。
そんな重責をいきなり負わされたのであれば、大体の人は求められる成果を出せないか、過重労働でリタイアしてしまう。
プロジェクトの結果責任を負っていることは確かだが、何でもかんでも背負う必要はない。プロジェクトチームに経験豊富なメンバーがいるなら、アドバイスをもらってもいいし、一定の裁量権(自由)を渡して独自に動いてもらってもいい。
「PMがすべての状況を確認し、指示を出し、メンバーはそれに従うものだ」というトップダウンの幻影はキックオフミーティングで早々に消し去っておきたい。PMはチームの一員であり、メンバーと対等な立場として共にゴールを目指すという認識を共有することが重要だ。
具体的には、これから述べる3つのポイントを踏まえてもらいたい。
1つ目は、プロジェクトの全体的な戦略や計画はPMが作るが、「疑問点や改善案」があれば、意見や質問を上げてほしいと伝えることだ。こうすることで、一方向的にPMの指示を待つ組織にならずに、メンバー各自の知見も活かしながら、対等に議論してプロジェクトを進めることができる。


















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