「親知らずの抜歯はかかりつけ歯科医にこだわるな」医師選びに役立つ3つの質問とは

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この他にも、歯の状態や骨のスペースなどで抜歯の難易度は変わります。多面的に抜歯のリスク判定を行う方法として、「ウインターの分類」とよばれる専門的な分類方法もあります。特に下顎の場合は、親知らずの近くを神経が走っているので、そのリスクを考えることが重要となります。

また、患者さんのよくある誤解があります。「高度な外科治療を必要とするインプラント治療を得意とする先生は、親知らずの抜歯も得意だ」と考えることです。しかし、インプラント治療と抜歯は全くの別物です。

このような理由から、特に下の歯や斜めに生えている親知らずの場合、抜歯手術のスペシャリストであることにこだわって歯科医を選ぶことをお勧めします。

実際、海外では歯科でもスペシャリスト教育が行われています。私自身の海外留学の経験からも、特にアメリカ、イギリス、ドイツなど医療先進国では、手術のスペシャリストになるためのカリキュラムが、日本よりもずっと難しいです。

これら医療先進国でスペシャリストになるためには、歯学部を卒業後、さらに医学部に入り「医師免許」も取得する必要があります。「歯のプロ」でもあると同時に「口から全身のプロ」でもあることが求められるのです。これは、手術は口の中でも、ダメージは全身に及ぶためです。だから海外では、手術の技術はもちろん、全身へのリスクを見極める力も徹底的に訓練されます。

日本では歯科大学卒業後、一般歯科に進む人や大学院で研究を続ける人もいます。スペシャリストをめざす場合は、さらに専門の専攻に進み、研修を受ける必要があります。専攻は10以上に分かれており、抜歯などの外科処置を学ぶ口腔外科に進む人は一部です。他のルートでも抜歯を学べないわけではありませんが、それは稀なケースといえるでしょう。

このため、残念ながら日本では、海外レベルの厳しい訓練を受けた歯科医は多くありません。だから、親知らずの抜歯を安心して任せられる先生は、大学病院や総合病院以外では10軒に1軒程度になってしまいます。

かかりつけ歯科医が得意かどうか探る方法

理想は自身のかかりつけ歯科医がスペシャリストであることです。しかし、日頃からお世話になっている先生に「親知らずを抜くのが得意ですか?」と聞くのは気まずいでしょう。そこで私のお勧めは、第三者のこととして先生に相談する方法です。“友達が親知らずを抜くことになったんですよ”と、まるで他人のことを相談するように聞いてみましょう。その上で「親知らずの抜歯で良い先生を探す方法ってありますか?」のように聞くと良いでしょう。

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