「ラーメンばかり食べる人」に「ほかの料理も食べてほしい」とき何て言う?――ビジネスでも使える「人を動かす」言葉の選び方

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

確かに、同じ組み合わせの服だけを購入し、毎日代わる代わる着ていれば、服装選びに時間がかからないから、非常に合理的だ。ただ、ではジョブズと同じことをしている人が実際どのくらいいるかといえば、やはりほとんどいないだろう。

要するに人間は、頭では理性的な選択をしたいと思いながら、実際には無意識レベルの「主観」で日々の行動を決めているのである。

「ロジカル思考」を身につける意味

ここまで述べてきた通り、そもそも人間は合理的に行動しているわけではないし、ロジカルな思考を好んでいるわけでもない。

・主観=個人の感情から生まれるもの。直感的で、非論理的
・客観=個人の感情に左右されないもの。合理的かつ論理的

とすれば、まさに人間は「主観的な動物」なのである。

ではどうして、私たちはわざわざ脳の半分を使って、ロジカルシンキングを行うようにできているのだろうか。

仕事においても、私たちはよく「論理的に考えろ」と言われる。

実際はそうできていないにしろ、私たちは何かの問題を考察したり、意思決定をしたりする際、極力「客観的」であることが求められるし、そうあろうとする。

一体、なぜだろうか。それは、感情で行動する場合のリスクを防ぐためではないかと、私は思う。

客観より主観 “仕事に差がつく”シンプルな思考法 (単行本)
『客観より主観 “仕事に差がつく”シンプルな思考法』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

感情や感覚だけを信じて突き進んだ結果、自分の身に危険が生じるようなことがないよう、左脳を使って「ロジカルチェック」を行う。「本当にその選択で大丈夫?」と、左脳から右脳に問いかけるわけだ。

そうすることで、私たちはミスやリスクを事前に回避することができる。そうした意味では、「合理性」とはすなわち「安全性」であるとも言えるのだ。

では、「論理」や「客観性」に基づいて意思決定をしていれば、あらゆるミスやリスクを回避できるのかというと、そうでもなかったりする。

ここは難しいところなのだが、ときに「自分の主観に従う」ことが、適切なリスクヘッジやビジネスでの成功に結びつくこともあるのだ。

内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空株式会社を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。2006年度には「世界の有力コンサルタント25人」に選出。
2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。早稲田大学ビジネススクールでは意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるかたわら、エグゼクティブプログラムにも力を入れる。
主な著書に、『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『アウトプット思考』(PHP研究所)、『できるリーダーが意思決定の前に考えること』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー・ロングセラーが多数ある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事