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「ラーメンばかり食べる人」に「ほかの料理も食べてほしい」とき何て言う?――ビジネスでも使える「人を動かす」言葉の選び方

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  • 内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授
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理屈としては確かにその通りなのだが、残念ながらこうした言葉で「明日からラーメンを食べるのをやめよう」と、その人が考えを改める可能性は低いだろう。

その男性は現状、特に健康の問題を抱えているわけではない。もし抱えているとしても、「健康面でのデメリット」と「ラーメンを食べる喜び」とを天秤にかけたときに、後者のほうに秤が傾いている。

だから「体に悪いかも」と思いつつも、ラーメンを習慣的に食べ続けてしまっているわけだ。

タバコやお酒がやめられない人も、だいたい同じような思考で、喫煙・飲酒を続けているのではないだろうか。

では、この男性にどんな言葉をかければ、ラーメンを控えてもらえるだろうか。ここで大切なのは、相手の感情を理解し、相手の文脈で言葉を選ぶことだ。

賢い人は相手を「論破」しない

たとえば、相手が自分よりずっと年下であったとしよう。ならば、「実は僕もラーメンが大好きで、それこそ毎日のようにラーメンを食べていた時期があったんだ」といったふうに切り出してみる。

「けど、そしたらあるとき、胃腸の調子が悪くなっちゃってね。それから野菜中心の食生活に変えたら、しばらくして、体調がすっかりよくなったんだ」

「おかげで、いまでもこってりしたラーメンが食べられる。あのとき食生活を改善していなければ、いまごろはラーメンを好きなときに食べられなくなっていたかもしれない。やっぱり、胃腸は労わっておかないとね」

「君も、50歳になっても、60歳になっても、ずっと好きなものを食べたいよね?」

こんなふうに、相手を無理に説得しようとするのではなく、ただ自分の体験や感情を述べる。相手のことを論破したり、価値観を変えようとしたりするのではなく、別の価値観や考え方があることを示してあげるのだ。

論理的に相手を説得しようとするのであれば、「ラーメンを毎日食べた人と野菜中心の食事をした人では、どちらが病気になる率が高いか」といったことを、さまざまなデータを並べながら説明することになるだろう。

「だから、ラーメンを控えることは、あなたにとって“合理的な選択”ですよ」と。

だが、人間は必ずしもそうした論理的な筋道に従って、判断を下すわけではない。むしろ多くの場合、人間の判断はその人個人の「感情」に根差しているのだ。

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【他人を動かしたいなら…】

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