「ラーメンばかり食べる人」に「ほかの料理も食べてほしい」とき何て言う?――ビジネスでも使える「人を動かす」言葉の選び方
だからこそ私たちは、他人を動かしたいのなら、その人の感情を動かすようなアプローチをしていくしかない。ここで述べるのは、そうした「相手の主観」に寄り添う方法なのだ。
「左脳的」より「右脳的」
この「感情と論理」の関係性は、よく「右脳と左脳」という言葉で説明される。
右脳は感情や感性、直感などを司る部分で、左脳は論理的思考や言語処理を司る部分だ。一般的には、両者の特徴をうまく活用することで、学習効率を上げたり、正しい意思決定を下したりできると考えられている。
ここでも多くの人は、右脳よりも「左脳の使い方」のほうに、注目しているのではないだろうか。いかにロジカルに、合理的に物事を考えるか。そのためにも、左脳を鍛え、その能力を最大化させることが重要だ、と。
ただ、人間が普段の意思決定に、どれくらい「左脳的な分析」を取り入れているかというと、かなり怪しいと私は思う。実際のところ私たちは、日常における多くの意思決定を「感情優先」で行っているからだ。
たとえば、毎日の昼食で「何を食べるか」を決める際、あなたはどんなことを考えているだろうか?
ずばり、「深く考えていない」という人がほとんどだと思う。そのときの「気分」だけで決めることもあるだろうし、友達との外食なら、友達が「食べたい」と言ったものに合わせることもあるだろう。あるいは「昼食はいつもこの店のこのメニュー」と決めていて、習慣的に食事を済ませている人もいると思う。
一方、「左脳重視の選び方」をするのであれば、医療機関などが定める理想的な献立になるべく準拠したり、「カロリーや糖質を細かく計算して食べるものを決める」ことになるだろう。
だが、プロのアスリートやダイエットを行っているような人を除いて、そこまで考えながらランチのメニューを決めている人は、いったいどれほどいるだろうか。
つまるところ、健康面や栄養面から「合理的な食事」を選択することは可能だが、実際にそんな合理的な思考に基づいて生きている人は、ほとんどいないのだ。
これはなにも、「食」だけに限った話ではない。たとえば「衣」に関しても同じだ。
服の機能面だけを取り上げるなら、「おしゃれな服」を着る意味などない。それでもみな、たとえ機能的ではないとしても、「自分の好きな服・気分が上がる服」を、感覚的に毎日選んでいるはずだ。
服の話で言えば、かつてスティーブ・ジョブズが、ずっと同じタートルネックのセーターを着続けていることが話題になった。


















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