放射能汚染に見舞われた福島、安心を得られない県の健康調査、行政の対応に批判相次ぐ
基本調査の回答率が低い点については、「広報体制が不十分だったことに加え、過去の記憶をたどって記入することは難しく、手間がかかることが原因と考えられる」。
甲状腺検査の頻度については、「日本甲状腺学会その他専門医から成る外部の専門委員会の検証を受けて決定している」と山下氏は回答。日本甲状腺学会理事長でもある同氏によれば、「臨床医学的にも疫学的にも、発がんまでの潜伏期を考えれば、本来5年に一度でも検査間隔は十分。ただ、県民の不安を考慮して、先行調査終了後、対象者が20歳までは2年置きなどの検査実施とした」。
昨年末までに県立医大で実施した甲状腺検査(先行検査の一部)では、対象となった3765人の子どもの約3割で「嚢胞(ポリープ)または結節」が認められた。ただ、「自覚症状が出現しないかぎり14年度以降の次の検査まで追加検査は必要なし」とされるA2判定がほとんどを占めるうえ、B判定(26人)についても、「放射線被曝によるものではなく、強くがんを疑うものでもない」(山下氏)としている。
年1回の実施目指す南相馬の内部被曝検査
しかし、県や県立医大が「安心」を強調しても、子どもを持つ父母らの不安は一向に鎮まらない。