放射能汚染に見舞われた福島、安心を得られない県の健康調査、行政の対応に批判相次ぐ

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原発事故後、県民の健康保持で中心的役割を担うのが福島県立医科大学だ。県の放射線健康リスク管理アドバイザーを務める同大学の山下俊一副学長(前長崎大学医学部教授)は、かつてチェルノブイリ事故後に放射性ヨウ素による被曝で小児甲状腺がんが多発している実態を解明した専門家だ。山下氏のリーダーシップの下、福島県は「県民健康管理調査」などの施策を進めてきた。

ところが、202万人の全県民を対象とした、原発事故直後の行動記録を基に外部被曝線量を推定する「基本調査」のアンケート回収率はわずか21・8%(3月22日現在)。放射性ヨウ素の正確な内部被曝データも皆無に等しい。がんなどを見分ける血液検査は希望者の一部にしか実施できていない。

18歳以下の子どもを対象とした甲状腺検査(超音波検査)は、「先行検査」(現状確認のための検査)の終了が2014年3月末。「全県本格調査」の開始は14年4月からで、「20歳までは2年ごと、それ以降は5年ごと」とタイムラグがある。

県民健康管理調査と並行して実施されているホールボディカウンター検査に至っては、何年待てば受診できるのかもはっきりしない。

なぜこのような状況なのか。山下氏から、書面で回答を得た。

まず、福島原発事故による住民の放射線被曝のリスクについて、山下氏は次のように説明した。

「これまでの推計被曝線量や空間線量率、広島および長崎原爆、チェルノブイリ事故のデータや知見に基づいた場合、甲状腺がんをはじめとする発がんリスクやそのほかの疾病リスクが増加する可能性は極めて低いと考えられる。しかし、発がんの可能性がゼロではなく、県民の不安、特に小児の健康不安が高いことも事実。そこで積極的に健康状態を見守り、フォローする事業として、この県民健康管理調査事業がある」

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