皇居をのぞき込む「竹橋の円筒連結ビル」の実態 モダン・オフィス建築の金字塔「パレスサイド・ビルディング」のすべて

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また、ダブルコア方式の副次的な効果として、屋上部分には約1900坪ものフラットな大空間を確保できた。

一粒で何度でもおいしい、本当に見事なデザインだと思う。

パレスサイドビル
広々とした屋上は、昼休みにはオフィスワーカーの憩いの場になっている。竣工当時、昭和天皇が視察に訪れ眺めを楽しんだという。また、ここで結婚式を挙げるカップルもいるそうだ(筆者撮影)

モダンなのに、どこか和の心

パレスサイドビル ガラスの城
「ガラスの城」とも称された、長大なカーテンウォール(筆者撮影)

ダブルコアと並んで、このビルを象徴するのが、1枚ガラスのカーテンウォールだ。高さ2.4メートル、幅3.2メートル、厚さ1.5センチというサイズで、竣工時日本最大級だったという。今ではすっかり一般的になったカーテンウォールだが、当時はまだ珍しかった。まさに時代を先取りしたデザインだ。

パレスサイドビル
内部のファミリーマートから外を望む。ものすごい開放感だ(筆者撮影)
パレスサイドビル
正面から見たカーテンウォール。福田さんによると、60年近い歴史の中で、1枚も割れることなく当時のままだそうだ(筆者撮影)

しかも、このカーテンウォールは、よくあるのっぺりとしたものではない。

パレスサイドビル
サンルーバー(日よけ)と雨樋が交差することで、機能的かつ彫りの深い表情をつくり出している(筆者撮影)

雨樋をデザインの一部として取り込む発想は、どこか日本的だ。雨の多い日本では、古くから雨水の流れまでもデザインの一部に取り込んできた。

寺社で見られる鎖樋(くさりどい)や、町家に施された意匠的な雨樋もその好例である(筆者撮影)

モダンで合理的なオフィスビルでありながら、どこかに日本らしさを感じさせる……まさに、デザインの妙である。

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