ここまで、パレスサイドビルのデザインを見てきた。その造形は、現代の感覚から見ても少しも古びることなく、むしろ新しさすら感じさせる。
だが、1階から地下1階にかけて広がる商店街に足を踏み入れると、雰囲気はがらりと変わる。昭和の面影を色濃く残し、創業当初から続く店も多い。「名店会」という商店会もあり、半世紀以上にわたってこの空間を守り続けてきた。
コンビニや飲食店だけでなく、郵便局やクリニック、理容室、カルチャースクールまで……ここはまさに、ビルの中に息づく“ひとつの街”なのだ。
今回は、そんな街の中から、ビルの歴史とともに歩んできた喫茶店「ティールーム 花」と「カレーの店 タカサゴ」のオーナーに話を伺った。
竣工当時から唯一残る喫茶店「花」
「ティールーム 花」は、岡田さんの父がパレスサイドビルの竣工とともに始めた喫茶店だ。入居の誘いがあり、まったく別の業種から一念発起して開業したという。当時はほかにも多くの喫茶店が入っていたそうだが、今も続いているのはここだけ。
それだけ長く、愛され続けてきた店なのだろう。



















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