「カスハラ」に誠実に対応しても害をもたらすだけ…【クレームは宝の山】が時代錯誤になった納得理由
カスハラにおいても、顧客と従業員とのコミュニケーションのなかで行われますから、対応する従業員によっては、カスハラが悪化することもあれば、カスハラがうまく収束することもあります。
カスハラが悪化するか否かは、個々人の対応によって差がつくことがあり、従来は、そのようなカスハラ対応能力の差も人事評価の対象になっていました。
しかしながら、近年、人手不足の状況になると、カスハラ対応を個々人の能力に依存する接客対応では限界を迎えています。たとえカスハラ対応が不得手であったとしても採用しないわけにはいきませんから、評価の対象にすることはできません。
そのため、カスハラ対応を現場従業員の個々人の能力に依存する課題ではなく、現状では、多くの企業がカスハラ問題を組織的な課題と認識しているのです。
人手不足が続くなか、働き手の意識も変化しています。
私は、多くのカスハラ案件を処理するなかで、カスハラ対応を担当した多くの現場従業員が心に傷を負い、結果的に会社を辞めてしまうのを何度も見てきました。
カスハラ対応で問われる「企業の真価」
カスハラが起きると、企業の姿勢の真価が問われることになります。カスハラが起きたとき企業の姿勢が消極的だと、カスハラ対応を担当した従業員だけでなく、その周りの従業員も失望することになります。
企業が形だけの対策に終始し、本気で従業員を守る姿勢がないと、従業員にはその姿勢がそのまま伝わるのです。カスハラに我慢してまで同じ職場にとどまる必要はありませんから、企業が適切に従業員を守らないと、簡単に他社に転職してしまいます。
確かに、人手不足解消のために、賃金の引き上げは近年進んできたと言えますが、賃金の引き上げにも限界があり、それだけでは働き手をつなぎとめることはできません。
そのため、企業としては、賃金を上げるだけでなく、カスハラ対策を真摯に行うことも職場環境改善策の一環として重要になったのです。


















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