「助けて」生活困窮者の最後の砦、大阪・西成から始まった居住支援。どんな人の住まい探しも断らず経営面での成果も。不動産会社の挑戦
坂本さんたちのもとには、信頼できるオーナーからの紹介のほか、活動を知った全国のオーナーからも「ぜひうちの物件を任せたい」という賃貸管理の依頼が多数舞い込みます。
しかし、実際に受託するのはそのうちのわずか1/3程度。リスクもしっかりと理解してもらった上で管理業務を受託しなければ、将来的にオーナーとのトラブルに発展する恐れがあるからです。
ただ「空室を埋める」という考えだけでは、居住支援は務まりません。オーナーも一緒に入居者と向き合う覚悟、そして金銭的にもある程度ゆとりがないと継続は難しいのでしょう。
坂本さんは、他の居住支援法人や不動産会社に対して伝えたいことを次のように話してくれました。
「生活に困窮する人たちを支援するのは、とても感謝されることがある半面、さまざまなトラブルや、気持ちを踏みにじられたり、裏切られたりすることもたくさんあります。それでも最初の志を忘れず、その人たちを恨まないでほしい。人は見上げるものでも見下すものでもなく、対等に支え合うものだからです」
そして、将来的には「支援者が疲れてしまわないように、支援者同士が支え合っていくことも必要」だと言います。
現時点では、生活支援機構ALLとロキは、大阪市内で信頼できる団体や機関、専門家などと独自のネットワークを築き、支援にあたっています。
将来、居住支援に取り組む団体が情報や悩みを共有する場として大阪市が「居住支援協議会」を立ち上げるとなれば、いつでも準備はできているとのこと。行政も巻き込んで、大阪市の居住支援が、そして全国の住まいの支援が、いっそう発展していくことを期待しています。
取材・文/和田 文(りんかく)
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