「助けて」生活困窮者の最後の砦、大阪・西成から始まった居住支援。どんな人の住まい探しも断らず経営面での成果も。不動産会社の挑戦

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

坂本さんたちのもとには、信頼できるオーナーからの紹介のほか、活動を知った全国のオーナーからも「ぜひうちの物件を任せたい」という賃貸管理の依頼が多数舞い込みます。

しかし、実際に受託するのはそのうちのわずか1/3程度。リスクもしっかりと理解してもらった上で管理業務を受託しなければ、将来的にオーナーとのトラブルに発展する恐れがあるからです。

ただ「空室を埋める」という考えだけでは、居住支援は務まりません。オーナーも一緒に入居者と向き合う覚悟、そして金銭的にもある程度ゆとりがないと継続は難しいのでしょう。

坂本さんは、他の居住支援法人や不動産会社に対して伝えたいことを次のように話してくれました。

「生活に困窮する人たちを支援するのは、とても感謝されることがある半面、さまざまなトラブルや、気持ちを踏みにじられたり、裏切られたりすることもたくさんあります。それでも最初の志を忘れず、その人たちを恨まないでほしい。人は見上げるものでも見下すものでもなく、対等に支え合うものだからです」

そして、将来的には「支援者が疲れてしまわないように、支援者同士が支え合っていくことも必要」だと言います。

現時点では、生活支援機構ALLとロキは、大阪市内で信頼できる団体や機関、専門家などと独自のネットワークを築き、支援にあたっています。

将来、居住支援に取り組む団体が情報や悩みを共有する場として大阪市が「居住支援協議会」を立ち上げるとなれば、いつでも準備はできているとのこと。行政も巻き込んで、大阪市の居住支援が、そして全国の住まいの支援が、いっそう発展していくことを期待しています。

取材・文/和田 文(りんかく)

●取材協力
NPO法人生活支援機構ALL
株式会社ロキ

SUUMOジャーナルの関連記事
なぜ精神障がい者は家を借りにくい? 福祉と不動産、異色のタッグが社会の壁に挑む
【千葉県松戸市】クリエイターの街で生活困窮者の支援をはじめた理由。まちづくりプロジェクト「MAD City」の居住支援
京都の住宅不足が深刻化。地元の不動産会社、古い公営住宅を子育て特化リノベ、低家賃と廃棄ロス活用で暮らしを応援 京都・長栄

『SUUMOジャーナル』編集部

『SUUMOジャーナル』は、リクルート住まいカンパニー運営の不動産・住宅情報サイト『SUUMO』が提供する、住まいや暮らしに関するコラム・ニュースサイトです。

魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話。それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など、住まいと暮らしの“いま”と“これから”についてお伝えし、自分にあう住まいって? を見つけるキッカケになる記事を提供しています。
 

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事