「助けて」生活困窮者の最後の砦、大阪・西成から始まった居住支援。どんな人の住まい探しも断らず経営面での成果も。不動産会社の挑戦

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相談者は40~50代の働き盛りが一番多いです。今まで普通に働いて暮らしていた人が、派遣切りなどで仕事を失い、次の就労先が見つからず『自分が生活困窮者になるのでは』という不安を抱えているのを、肌感覚として強く感じています」(生活支援機構ALL・坂本さん、以下同)

相談者の「コロナ前」(上、2019年)と「コロナ後」(下、2023年)の変化

生活支援機構ALLへの相談者の半数以上が40~50代。コロナ前の2019年頃(上)と比べて、コロナ後の2023年(下)では居宅がありながらの相談が増えている。これは、近い将来、家賃や住宅ローンを払えなくなり、住む場所を失う恐れのある人からの相談が多いことを示す(画像提供/生活支援機構ALL)

全国からさまざまな事情を抱えた人が大阪に集まる理由

坂本さんの活動はさまざまなメディアに取り上げられ、自身でもYouTubeで発信しており、それを見た人が日本全国から「助けてほしい」と相談に訪れます。中には覚醒剤の後遺症に悩む人や、借金やDVなどで他の誰かに追われている人も。坂本さんも「いろいろと危険な目にも遭った」と言います。

「西成という地域には、他の地域で馴染めなかったり、敬遠されるような人たちも集まってきます。どのような人でも、僕が支援を断ることはありません。生活もままならない中でひたすら我慢をするのではなく、生活保護を申請し、生活を立て直して、再スタートすれば良いのです」

ところが、生活保護について「血税を個人の支援に使うのか」と反対する人もいるそう。また支援を必要とする人の中にもプライドから生活保護を申請することに抵抗感や罪悪感を持つ人もいるのだとか。そのような声に対して坂本さんは、こう反論します。

「生活保護の受給は全ての国民に認められた権利です。生活保護を受けることで、生活が安定して消費が生まれます。お金を使えば、お店は収入を得て誰かの雇用につながるかもしれません。経済が動き出すことで、むしろ人の役に立てる可能性があるのです」

生活保護には「住宅扶助」という家賃を補助する制度がある。しかし制度を活用しなかったり、受給が認められなかったりして家賃を滞納して夜逃げする人も。坂本さんは「生活が苦しいなら生活保護を有効に活用すべき」と訴える(画像提供/生活支援機構ALL)
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