「助けて」生活困窮者の最後の砦、大阪・西成から始まった居住支援。どんな人の住まい探しも断らず経営面での成果も。不動産会社の挑戦

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

坂本さんは、生活支援機構ALLの代表理事であると同時に、不動産会社ロキの代表取締役でもあります。

2025年7月現在、生活支援機構ALLの職員は4名、ロキは5名の計9名体制。双方で連携し、業務をロキから生活支援機構ALLへ、または生活支援機構ALLからロキに委託するなど、協力しあっているそう。

生活支援機構ALLの役割は、まず、相談者との面談です。どのような支援を必要としているのか、さまざまな支援制度を使えるのかを判断します。生活保護が必要な人は申請に同行したり、借金返済に苦しむ人には法テラスを紹介したり。

そして住まいが必要となれば、ロキの出番です。

不動産会社が居住支援(※)を行う意義について、坂本さんは「相談者の苦悩と家主の不安、両方わかるからこそ、しっかりと双方を結びつけることができる」と言います。不動産取引のプロとして物件を提供し、法に則った賃貸借契約を結びます。

入居後の生活に必要なガスコンロや布団、衣類など、困っているものがあれば生活支援機構ALLを通じて無償で提供することもあるそうです。

気になる事業運営ですが、不動産会社としての収入源は、家賃、管理手数料や仲介手数料になります。一方でNPO法人である生活支援機構ALLはロキからの業務委託料や寄付金、また助成金で何割かは返ってくることで、なんとか切り盛りしている状況です。

※住まい確保に困窮している人に対し、入居や入居後の生活を安心して送れるよう支援すること

ロキと生活支援機構ALLは同じ場所にある。坂本さんは他の不動産会社に勤めながら、生活に困っている人のために生活支援機構ALLを設立。その後住まいを必要としている人を断らなくて良いように、自分で不動産会社を立ち上げた(画像提供/生活支援機構ALL)

注力しているのは入居後の生活支援

各地方自治体から指定を受け居住支援を行う「居住支援法人」の数自体は年々増えています。居住支援への意識が高まる中で、坂本さんのもとには全国の居住支援法人や不動産会社から「ノウハウを教えてほしい」との問い合わせも増えているそう。

さらには国も「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)」の改正を経て、事情のある人の入居を断らない住宅の登録などさまざまな施策を推し進めています。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事