予防医療の医師が解説「病気を予防するためのサプリ」…何が効くのかの大規模研究

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サプリが病気の予防に効果的かどうか、調べる方法があります。ランダム化試験というもので、数千〜数万人の集団に対し、くじ引きでサプリを飲むか飲まないか決め、数年間追跡するものです。サプリを飲むかどうかがランダムで決まるので、飲んだ群と飲まない群で心筋梗塞の発症率に差があれば、それはサプリのせいだと言えるわけです。

オメガ3脂肪酸についてはそのような研究がいくつも行われてきました。例えばVITAL試験というものでは、アメリカの高齢者2万5000人に対し、DHA380mg + EPA460mgのサプリの効果を検証したところ、5年間で心筋梗塞の発症リスクを28%減らしたという結果となりました(※1)。一方脳梗塞のリスクは減りませんでした。

最近の日本人を対象とした研究にRESPECT-EPA試験というものがあります。2500人の冠動脈疾患患者を対象にEPA1800mgのサプリの効果を検証したところ、5年間でカテーテル治療を受けるリスクが32%も減りました(※2)。一方、この研究で脳梗塞や心筋梗塞への効果は認められませんでした(規模が小さいことが原因であった可能性があります)。

このように、オメガ3脂肪酸サプリは、効果がないわけでなく、むしろ大きな効果が示されてきているのです。サプリによってどれほど検証されているかが異なりますが、ビタミンDやココアフラバノールなど、しっかりと効果が示されているものもあり、サプリだから一概に「効かない」というのは誤っています。

サプリの中身には注意

しかし、市販されているサプリならどれでもよいかというと、そういうわけではありません。

いくつかポイントがありますが、ここでは「用量」を考えていきましょう。

上に紹介した通り、一言に「オメガ3脂肪酸」といっても、中身はいろいろです。VITAL試験ではDHA380mg + EPA460mgでしたし、RESPECT-EPA試験ではEPA1800mgでした。これらは1日分の用量です。

このような研究が組まれるにあたり、どの用量を検証するかは、非常に綿密に計画されます。なぜなら、一つのランダム化試験にかかるコストは非常に大きく(数十億円以上の規模)、科学的に意義のある結果をうむことが求められるからです。

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