「子どもの支度が進まず怒っている」→「私は遅刻への不安を怒りに変換しそうになっている」
「宿題の声かけをしてもやらない」→「私は子どもが他の子から遅れてしまうという比較意識が刺激されている」
「なかなか寝ない子」→「私の立てた計画が崩れる不安が刺激されている」
この言い換えだけで、行動選択の幅が格段に広がります。不安なら不安への対処法があり、焦りなら焦りを和らげる方法があります。怒りという感情の奥にある本当の気持ちに気づくことで、より建設的な行動を選択できるようになります。というよりも、もはやこの段階では、感情は相当おさまっているはずです。客観的に自分を見ているからです。
子どもへの声かけに使える「言い換え台本」を紹介
このように感情がある程度おさまってきたら、いよいよ子どもへの声かけになります。感情が出ている時に、声かけするとかなりの確率で事態を悪化させてしまいます。ですから、上記のプロセスを経てから次の言い換えを行ってください。
では「言い換え台本」をいくつかご紹介します。
「早く!」→「今、先にやるのは顔を洗う・服を着る・荷物をまとめる、どれにする?」
さらに手強い子の場合は、これにもう一つ「やらない」を付け加え4つにします。「やらない」とばかり言う子にあえてこの選択肢を入れておき、それを親の誘導によって選ばされたという構造を作ります。すると、子どもは天邪鬼なので、それを選べなくなります。
「まだやってないの?」→「10分タイマーで最初の1問を一緒に始めてみようか」
「やってみよう」ではなく「やってみようか」の「か」が重要です。この一文字が入るか入らないかで子どもの心への伝わり方が変わってきます。
「いい加減やめなさい!」→「この曲が終わったら終了ね。次はお風呂と歯みがき、どっちにする?」
「やめなさい!」→「今は取り合いの解決と、それぞれの言い分を聞くの、どちらを先にしようか?」
このように台本を事前に準備しておくと、とっさの出来事があっても口から自然に出てくるようになります。しかし日頃から感情をある程度おさえてからでないと、このような言葉は出てきません。一旦、感情のトーンを下げてから、これらの言葉をかけていきます。くれぐれも、その点だけは心に留めておいてください。

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