痛烈批判を浴びていたドジャース佐々木朗希が紆余曲折の果てに「復活」するまで

✎ 1〜 ✎ 209 ✎ 210 ✎ 211 ✎ 212
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

佐々木の今季中のメジャー復帰はないと思われたが、ロバーツ監督は8月に「佐々木の救援投手への転向」に言及、9月に入って、佐々木は1イニングを任される救援投手として起用された。

AAAでの2試合は、2回0被安打1与四球3奪三振、自責点0

劇的な復活だった。

ロバーツ監督が佐々木にかけた言葉は「球速が足りない」。

佐々木は、自身がパワーピッチャーだったことを思い出し、NPB時代の投球も参考にして、投球を組み立てなおしたのだ。見事なアドバイスだったと言える。

救援投手陣が崩壊状態だったドジャースは、急遽佐々木をメジャーに呼び戻し、最終盤の2試合に投げさせた。結果は2回1被安打0与四球4奪三振、自責点0。

メジャーの各打者は佐々木の160km/hを超すフォーシームとストライクゾーンで落ちるフォークに翻弄された。

シーズン最終盤に戦列に復帰した佐々木は、ポストシーズンのワイルドカードシリーズでも2試合目の最終回に登板し、1回打者3人をきれいに片づけた。

現地10月4日の地区シリーズ初戦では最終回に登板し、1被安打したもののフィリーズを無失点で退け、NPB、MLB通じて初の「セーブ」を記録した。

(写真:MediaNews Group/Pasadena Star-News via Getty Images)

救援投手のステイタスは先発投手に比べて低いMLB

佐々木にとって、大谷翔平、山本由伸がいるドジャースのベンチに復帰できたことは、何よりの喜びだったはずだ。

しかし彼がこのまま救援投手に転身するとは考えにくい。佐々木は、NPB時代も含め救援登板の経験は皆無だ。またMLBでは救援投手のステイタスは先発に比べて低い。来季に向けて球種を増やすなど、一からの模索が始まるのだろう。

佐々木をMLBに移籍させた代理人は、他のNPBの若手有望投手にも声をかけていた。しかし今回の佐々木朗希の蹉跌を目の当たりにして、NPB球団は件の代理人から選手をブロックしはじめた。また、選手自身の意識も変わり始めたという。

今や日本人選手にとってメジャーリーガーになることが最大の目標になっている。NPBはそのための「ステップ」にすぎないが、これをおろそかにしてメジャーに駆け上がっても、成功はおぼつかない。

佐々木の事例は、この「基本的な事実」を身をもって知らしめたと言えるだろう。

広尾 晃 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事