佐々木の今季中のメジャー復帰はないと思われたが、ロバーツ監督は8月に「佐々木の救援投手への転向」に言及、9月に入って、佐々木は1イニングを任される救援投手として起用された。
AAAでの2試合は、2回0被安打1与四球3奪三振、自責点0
劇的な復活だった。
ロバーツ監督が佐々木にかけた言葉は「球速が足りない」。
佐々木は、自身がパワーピッチャーだったことを思い出し、NPB時代の投球も参考にして、投球を組み立てなおしたのだ。見事なアドバイスだったと言える。
救援投手陣が崩壊状態だったドジャースは、急遽佐々木をメジャーに呼び戻し、最終盤の2試合に投げさせた。結果は2回1被安打0与四球4奪三振、自責点0。
メジャーの各打者は佐々木の160km/hを超すフォーシームとストライクゾーンで落ちるフォークに翻弄された。
シーズン最終盤に戦列に復帰した佐々木は、ポストシーズンのワイルドカードシリーズでも2試合目の最終回に登板し、1回打者3人をきれいに片づけた。
現地10月4日の地区シリーズ初戦では最終回に登板し、1被安打したもののフィリーズを無失点で退け、NPB、MLB通じて初の「セーブ」を記録した。

救援投手のステイタスは先発投手に比べて低いMLB
佐々木にとって、大谷翔平、山本由伸がいるドジャースのベンチに復帰できたことは、何よりの喜びだったはずだ。
しかし彼がこのまま救援投手に転身するとは考えにくい。佐々木は、NPB時代も含め救援登板の経験は皆無だ。またMLBでは救援投手のステイタスは先発に比べて低い。来季に向けて球種を増やすなど、一からの模索が始まるのだろう。
佐々木をMLBに移籍させた代理人は、他のNPBの若手有望投手にも声をかけていた。しかし今回の佐々木朗希の蹉跌を目の当たりにして、NPB球団は件の代理人から選手をブロックしはじめた。また、選手自身の意識も変わり始めたという。
今や日本人選手にとってメジャーリーガーになることが最大の目標になっている。NPBはそのための「ステップ」にすぎないが、これをおろそかにしてメジャーに駆け上がっても、成功はおぼつかない。
佐々木の事例は、この「基本的な事実」を身をもって知らしめたと言えるだろう。
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