「この街は発展しない。だからいいんだ」 新宿駅から6分、なのに「素通りされる」街。交通の便がすこぶる良いのに、再開発の波が及ばないワケ

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中井が誇る文化はほかにもある

小説家林芙美子や漫画家赤塚不二夫ゆかりの地であることは既述の通りだが、中井にはそれ以外にも誇るべき文化がある。それが「染め物」だ。

「京都や金沢に負けないくらい、東京は染め物が盛んだったのです。かつては染めのノリを落とすために神田川の下流で反物を洗っていたんですが、生活排水で汚れてしまってからは落合・中井界隈の妙正寺川と神田川で洗うようになった。そのためにこの界隈には染めの職人さんが多く住んでいたんです。今も何軒か染色工房が残っていますよ」(逸見さん)

毎年2月には「染の小道」という催しが開催される。当日は色とりどりの反物が川にはためき、暖簾が店先を飾るという。素通りするには本当に惜しい。中井は歩けば歩くほど味わい深い表情を見せてくれる住むとちょっといい街なのである。

【もっと読む】「立地的にはリーズナブルな吉祥寺」「サイゼ発祥の地でもある」…東京駅まで30分、東京のお金持ちが「わざわざ邸宅を構えた街」の"実態" では、千葉県市川市の本八幡を街に詳しいライターの末並俊司さんが訪問。豊富な写真とともに、その魅力をお伝えしている。
画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします
末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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