石破首相の辞意表明で株価が上がる皮肉、最高値の日米株価に潜む「2つのトランプリスク」

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それでは、今の好調な株価を素直に信じていいのだろうか。ここで思い出したいのは、「石破首相退陣も?日本株の命運握るお盆明け政局」(8月16日配信)でもご紹介したあの相場格言である。

① Bull markets are born on pessimism, (強気相場は悲観とともに生まれ)
② grow on skepticism, (懐疑とともに成長し)
③ mature on optimism, (楽観とともに成熟し)
④ and die on euphoria. (陶酔とともに終わる)

トランプ関税をめぐる「悲観」と「懐疑」はこの夏までにほぼ払拭され、今や日米の株式市場は最高値を更新して、第3段階の「楽観」に突入しつつある。アメリカでは、9月5日に公表された8月雇用統計が予想通りに悪い内容だったので、「いよいよ9月利下げはホンモノだ」ということで、今週のNYダウ30種平均株価などは4万6000ドル台で推移している(11日現在)。

今回のように、リセッション(景気後退)にならないうちに、利下げが行われるとすれば滅多にないことだ。そういう意味では、市場が「楽観とともに成熟」するのも無理からぬところだが、これから先の伸び代は限られたものになると考えるべきだろう。むしろこの先は、「陶酔とともに終わる」リスクを考えておくべきではないか。

気になるトランプ政権の「過度な介入主義」

筆者が気になっているのは、トランプ政権の過度な介入主義である。伝統的に言えば、アメリカの二大政党は「民主党がHands on(介入主義)、共和党がHands off(放任主義)」という対比があった。リベラル派が「人智を尽くして問題を解決しよう」とするのに対し、保守派は「人間の知恵には限界があるのだから、政府はなるべく小さい方がいい」と考える。あのロナルド・レーガン大統領などは、「政府がむしろ問題なのだ」と喝破したものである。

ところが現トランプ政権は、過去の共和党の伝統とは程遠く、とてつもなく介入主義的なのである。政権発足からは既に9カ月近くが経過しているが、この間に不法移民を追い出し、高関税政策を採用し、議会では大規模な減税を決めた。

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