石破首相の辞意表明で株価が上がる皮肉、最高値の日米株価に潜む「2つのトランプリスク」

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カギ握る「財政拡張的な政策」と「連立アピール」

2つのことが予想できる。ひとつは総裁選の過程で、財政拡張的な政策が訴えられるということだ。石破さんが参院選の公約とした「1人2万円の給付金」は、明らかに金額が少なすぎた。経済的効果としては微力にすぎたし、政治的効果としては「ケチな自民党」を印象づけてかえってマイナスであった。

出馬宣言でいちばん乗りした茂木敏充前幹事長は、この給付金を取り下げるとともに、物価高対策として「数兆円規模の生活支援特別交付金」を創設すると表明した。たぶん他の候補者からも、似たような提案が続くことだろう。

真面目な話、今週発表された4~6月期GDP二次速報によれば、足元の名目GDPは年率6.6%増の635.1兆円である。これだけ急速に経済が実額ベースで伸びたら、税収が増えるのは当然のことだ。「金利のある経済」に戻っている手前、長期金利の動向にも目配りが必要なので、与党として「消費税減税」などの大盤振る舞いはできないが、短期的な支出拡大なら十分に余地がある。市場から見れば「追い風」ということになる。

もうひとつ、今回の自民党総裁選では政策以上に、「私なら××党と連立ができます」というアピールがカギとなる。少数与党の石破内閣は、政策ごとにきめ細かく野党との対話を繰り返してきた。それは石破さんらしい真摯な流儀であったけれども、1年近くやってみた結論は、「もうこんな面倒なことはやっていられない」であろう。

おそらく自民党の次期総裁は、新たな政党を連立に引き込もうとする。「国民民主党はお高くて落とせそうにないが、日本維新の会なら靡(なび)いてくれるんじゃないか……」といった工作が行われるだろう。それがうまくいけば、政権運営は一気に楽になる。石破さんが首相として頑張り続ける限り、それは不可能なことであった。これまた株式市場的には「買い」であろう。

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