《邦画実写の歴代興行収入ランキング》快進撃の『国宝』は1位奪取なるか?"吉沢亮と横浜流星"の好演が超話題!興収の展望を予測してみる

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渡辺謙
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎を演じた渡辺謙(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

過渡期の映画業界に新たな風を吹かせた

そうしたなかでの『国宝』のスーパーヒットには意義がある。アニプレックスが親会社になるソニーグループのミリアゴンスタジオが製作幹事を務めた、作家性と商業性を両立させたエンターテインメント大作は、従来のテレビ局映画とは明らかに肌触りが異なる。

吉沢亮は1年半にわたって歌舞伎の猛稽古を重ねたことが伝えられているが、李相日監督のこだわりのもと、邦画実写としては破格の10億円を超える製作費が投じられ、脚本も撮影もポストプロダクションも含めたすべての過程において一切の妥協はなかった。

そうした製作手法のもと、本物を追求する姿勢で作品性を徹底的に高めたことが、歌舞伎ファンの心をつかむ作品になったのだろう。それは、配信サービスの台頭と若者のライフスタイルの変化で映画メディアが過渡期を迎えている時代に、新たな風を吹かせた。

本作のヒットが映画業界に与えたインパクトは大きい。本物がヒットする時代であり、運やタイミングもあるが、作品さえ良ければ、その道は自ずと開けることを示した。

その背景には、映像メディアの多様化によって、観客の民度が高まっていることがあるだろう。それは同時に、これまでのような人気原作やスターキャストに頼るヒット方程式や、流行り物の上澄みをすくうようなうわべだけの作品は、観客にそっぽを向かれることも示している。

『国宝』の大ヒットは、そんな「作品性本位の時代」到来の現れかもしれない。それを示すような、次なる『国宝』がこの先どんどん生まれてくることが待たれる。そこから、映画業界の未来は開けていくに違いない。

その機運を高めるためにも、『国宝』が邦画実写歴代1位まで上り詰めることが期待される。

【もっと読む】《映画歴代興行収入ランキング》4位に『鬼滅の刃』の衝撃!『国宝』はTOP50入りも、“TOP10に邦画実写ゼロ”。2つのランキングから傾向を解説 では、映画に詳しいライターの武井保之氏が、映画歴代興行収入ランキングから見えるトレンドについて詳細に解説している。
武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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