「論破は三流のやること」Z世代を巧みに動かす一流の上司が、言葉を使わない決定的な理由
大事なことは「空気づくり」である。めんどくさい若者には、言葉ではなく「空気」を作る。相手のタイプに合わせた「場」を整えるのだ。
たとえば、論理を重視するタイプなら、データ分析の仕事を任せる。感情を大切にするタイプなら、顧客対応の最前線に立たせる。それぞれの特性を活かせる環境を用意することで、自然と行動が変わっていく。
「場を作る」ことの本質
場を作るとは、メンバーの行動や考え方(思い込み)を変える環境を作ることだ。論破したがる部下に対して、論理で応戦するのはやめよう。「空気」を変えるのだ。新刊『わかりやすさよりも大切な話し方』でも書いたが、私は常々、
「人を変えるな、空気を変えよ」
と言っている。環境要因は、客観的なデータで裏付けられた事実よりも影響が大きい。だからこそ、論破されても動じない姿勢が必要だ。むしろ「面白い視点だね」と受け流す余裕のほうがいいだろう。そのほうが、会議の空気は変わるはずだ。
私の知る優秀な経営者は、論破好きの若手社員をこう評価した。
「彼は宝物だよ。あれだけ論理的に考えられる若手は貴重だ。ただ、使い方を間違えているだけ。正しい方向に導けば、組織の大きな戦力になる」
実際、その若手は3年後、最年少でマネジャーに昇進した。論破グセは消え、代わりに部下の意見を引き出す聞き上手になっていた。
たとえ論破グセのある若者がいたとしても、気にする素振りは見せないようにしよう。「Lose-Lose」にならないよう、「場を作る」ことで間接的に相手を導いていくのだ。これこそが、令和時代のマネジメントに求められる姿勢だろう。
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