タルコフスキーが初めてイタリアで撮影した、比類なき映像美が光る最高作とも言える逸品。
自殺した作曲家の取材のためモスクワからイタリアへ旅行に来ていた作家ゴルチャコフは、温泉街で謎の老人ドメニコと出会うも、「ロウソクに火を灯し、それを消すことなく温泉広場の端から端まで渡れたら、世界が救済される」と言い残し、焼身自殺してしまう……。1983年のカンヌ国際映画祭で数々の賞を受賞した必見作。
1986年のカンヌ映画祭で史上初の4賞受賞に輝いた、タルコフスキーの遺作。スウェーデンの南に位置するゴトランド島。誕生日を迎えた文筆家のアレクサンデルは、話すことができない息子と松の木(生命の樹)を植える。
その白夜、テレビは核戦争勃発を伝え、彼は信じていなかった神と対峙し、サクリファイス(犠牲、献身)を決行するのだが……。宗教色が濃く出た作品だが、映像の美しさは変わらず出色だ!
さてグリーナウェイ(3枚組)が今回の特選とされるのに、異を唱える映画ファンも多かろう(苦笑)。
とにかくアクの強さでは、かのラース・フォン・トリアーと肩を並べる! 驚くべきことに「プロスペローの本」(1991年)と「ベイビー・オブ・マコン」(1993年)は、初ブルーレイ化どころか、初DVD化でもある。
“バロック最盛期の絢爛豪華な美術による様式美・映像美の中で、人間のどす黒いエゴや欲望(エログロ)が渦巻く”「ベイビー・オブ・マコン」 (1993年/英・独・仏)は、虚構(演劇)と現実(観客席)の間を往復する宗教劇。「プロスペローの本」 (1991年/英・仏・伊)は“復讐こそわが魂、魔法の織りなす壮麗なる夢想の宮殿”(クリムゾン・キングの宮殿!?)。シェイクスピアの戯曲『テンペスト』を題材とした復讐劇。そして「数に溺れて」(1988年/英)は、愛に失望した魔性の女たちが、それぞれの夫を溺死させる。数にとり憑かれ、100まで数える死のゲーム。
間違いなく3本ともに賛否両論の問題作であろう。グリーナウェイにしてもタルコフスキーにしても、本スペースではとても語り尽くせない。興味をお持ちの方は徹底的に調べてほしい。
(文:たかみひろし/音楽・映像プロデューサー)
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