ある種の動物が持つ「第三の目」「第三のまぶた」のスゴすぎる能力――獣医病理医が語る「動物たちのおもしろい体の仕組み」

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ムカシトカゲ(トカゲにそっくりですがトカゲではありません)や、一部のトカゲ、カエル、魚類などには、頭頂部に頭頂眼(とうちょうがん)と呼ばれる第三の目があります。

頭頂眼をおおっている皮膚や鱗は透明になっていて、まるで角膜のようで、内部には水晶体、網膜、視細胞や神経節細胞など、目と同じ構造があり、そこから神経線維が脳の一部(間脳)につながっています。

このように構造は目と似ているのですが、頭頂眼ではものを見ることはできなくて、光の刺激を受け取って体温を調節したり、ホルモンを分泌したりしていると考えられています。

一方、私たち哺乳類には第三の目はありませんが、実はその名残があります。

松果体(しょうかたい)という、脳の奥の方にある構造です。松果体はメラトニンというホルモンを分泌する器官として働いており(内分泌器官といいます)、1日のリズム(概日リズムといいます)を形成する役割を果たしています。

朝に目を覚まして光を浴びると、そこから14~16時間後の夜間にメラトニンの分泌量が増えます。すると、体温や血圧が下がり、睡眠が促されます。

メラトニンは睡眠と覚醒のリズムを調整し、体内時計の役割を果たしています。松果体からメラトニンがつくられるためには朝に光を受け取ることが大切なので、夜にスマホやパソコンの光や明るい照明を浴びてしまうと、メラトニンの分泌が抑制されて、体内時計が乱れてしまうのです。

松果体は、受精卵から体ができていく発生の段階で、頭頂眼と左右一対の器官として形成されます。2つのうち一方は頭頂眼になり、もう一方が松果体になるのですが、頭頂眼は哺乳類やそのほか多くの動物では退化しました。

漫画に出てくるような3つめの目は私たちにはありませんが、松果体という形で脳の奥に第三の目はあるともいえますよね。

第三のまぶたをもつ動物

まぶた(眼瞼:がんけん)は漢字では目蓋と書くように、眼球の表面をおおって、目を保護する役目をしています。

人では上下に2枚の眼瞼(上眼瞼と下眼瞼)がありますが、動物では3つめの眼瞼として、第三眼瞼(瞬膜:しゅんまくともいいます)をもつものがいます。

イヌやネコを飼っているならご存知の方も多いでしょう。両目の内側の目頭(内眼角ともいいます)の部分にある、白色~やや薄いピンク色をした膜のような構造物が、第三眼瞼です。

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