「アニメのコラボカフェは、高いのにまずい」と投稿したら大炎上…。それでも私が「まずくても受け入れろ」に異を唱えるワケ
しかし、より根深いのは利用者であるオタク自身の気持ちだ。ノベルティ文化が浸透した結果、味が多少まずかろうが「見た目さえそれっぽければいい」と思うオタクが増えてしまった。
もはや、コラボそのものがありがたいことから、「どれだけ味がまずくても文句を言ってはいけない」という暗黙の了解(?)さえある。お金を払っている以上一定の味を担保するべきだと思うのだが、オタクビジネスにおいて味は二の次になっているケースは少なくない。
とはいえ、オタクは決して味覚音痴ではない。それでもコラボカフェに足を運ぶのは、(やや過激な表現になるが)「推しが人質になっている」からなのだ。そこに推しがいるならお金を落とす。それがオタクという生き物なのである。
コラボカフェの食事がまずい「構造的な要因」
では、コラボカフェはどうしてまずいのか。食事がおいしくない主な原因は2つある。1つ目は、コラボカフェの「立地」だ。コラボカフェを展開するテナントは、商業施設の中にあるケースが多い。狭いスペースの中にとにかくたくさんの客を入れるため、客席がかなり小さい店舗も少なくない。

つまり、それだけ「カフェ設備が充実していない」可能性があるのだ。大型商業施設ならともかく、都内のように土地が狭く家賃が高いエリアでは、キッチン設備が充実していないコラボカフェが多い。
するとどうなるのか、あからさまな冷凍食品とレトルトが増えるのだ。時には、半解凍の状態で提供されることもある。コラボカフェを訪れたことのあるオタクは、1度は半解凍のデザートを食べたことがあるだろう。
原因の2つ目は、誰が調理しても均一のクオリティにするための「オペレーション」だ。時間・材料をふんだんに使って料理できれば、ある程度のおいしさが担保できるのは想像に難くない。しかし、コラボカフェ店舗内という限られたスペースと人材で調理するためには、複雑な工程を省く必要があるのだ。
工程が簡略化されればされるほど、大味に近づくのも仕方がないのだろう。冷凍食品・レトルトを温めて盛り付けるだけなら、はじめてアルバイトする若者でも対応できるのだから。
実際、筆者自身も、ワクワクした気持ちで料理を口に入れた瞬間、「あ、これ食べたことある味だ……」と、思い当たるレトルト商品を連想したことがある。