『チェンソーマン』は"映画こそ真骨頂"なワケ。公開迫る劇場版《レゼ篇》を見た筆者が解説!『鬼滅の刃』『呪術廻戦』に続ける?【画像11枚】
そんな本作のおもしろさはギャップだ。デンジとレゼのセンチメンタルな物語から激烈な戦闘シーンがあり、ラストは再び儚く切ないエモーショナルなストーリーに引き戻される。そこに映されるのは、それまでの戦闘バトルの興奮とは打って変わる、胸が締め付けられるような叙情的なラストだ。
レゼの生い立ちには、彼女がそうなるべくしてなった理由がある。しかし、封じ込められた心の奥底には、ひとりの少女のいまにもくずれそうなもろい感情がわずかにでも存在していた。
本作のエンディングは、『チェンソーマン』らしいエピソードの終わらせ方と言えるかもしれない。センチメンタルな流れに戻ったラストは、エンドロールの最後まで途切れずに話が続く。強烈な余韻に浸りながら、客電がつくまで席に残っていれば、感じるものがあるはず。そこまでが物語になる。
激烈な戦闘シーンとセンチメンタルな物語がひとつの作品のなかで混在し、その世界観が交錯することで観客の感情を激しく揺さぶる本作。従来のファンはもちろん、異様なチェンソーマンのビジュアルから怖いもの見たさで入った一見さんの心をしっかりとつかんでしまう物語と映像の力がある。
デンジとマキマの“デートシーン”から感じること
もうひとつ言及したいのは、本作には映画へのメッセージが埋め込まれていること。
前半、レゼと出会う前のデンジは、かつて「1本の映画に人生を変えられた」というマキマと、丸1日かけて映画4〜5本を鑑賞し、その都度作品を語るデートをする。

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