「商売に失敗する人」が絶対気づかない思考法 数字ありきで考えるのは危なすぎる

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石川:MBAの人を批判するわけではないですけれども、見落としがちなのでいうと、マーケットのデータとかグラフとかそういう話はいっぱい出てくるんだけど、「僕はそんなユーザーに一度も会ったことがありません」とか言い出す人がいるんですよ。

常見:ダメじゃないですか!

「事業とは不の解消である」

石川:僕は「不」を探すというのですが、不満とか不平だとか不利とか不幸とか。その「不」を探し出して、「不」の解消方法を見つけたらビジネスだと思いますっていう話をするんだけど、

そうするとリアルに「不」を感じていない案件って多くて、実際にユーザーに会ったことがない、現場を見たことがないという企画書と、「ターゲットになりそうな生活者10人に会ってきました」というのと、どっちが説得力があるんだ、という。

常見:リクルート関係者が口にするのが、「不の解消」という言葉ですね。これは、新規事業作りに限らず、仕事なら何でもそうですが、意外に「不の解消」を意識していない人もたくさんいらっしゃるなと思ったんです。

石川:リクルートの中で自分が教わったのは、「事業とは不の解消である」ということです。誰かの不平とか不満とかを解消すれば、何か商売になると教わってきたので、共通言語みたいになっています。何かの話をするときに、「それは誰の不を解消するわけ? その不は大きいの?」っていうので会話になります。

needsとかwantsっていう言葉はあまり使わないですね。「誰の不を解消するのか」という話をします。そして「不」を掘り下げて考えるために「国語算数理科社会」っていう話をしています。さっきのMBAの話で、数字が結構出るという話があったじゃないですか。数字から事業がスタートすることってあんまりないと思うんですよね。

「なんとかマーケットは5000億円といわれております」とか「なんとか市場は何兆円といわれております」とか。そこが企画書の冒頭にくるケースって多いじゃないですか。マーケットのサイズが伸びていますとか、シェアが落ちていますとか、円グラフか棒グラフが折れ線グラフから始まる企画書。あそこから、「だからこの事業をやろう」っていう文脈になかなかつながらないんですよね。

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