ごく基本的なルールはあるが、「こういった形で接客をしなさい」「この場合はこうしましょう」と具体的に決めていることはない。身だしなみの自由度も高く、飲食業としての清潔感があれば、ヒゲや染髪、ピアスなどもOKだ。
株式会社串カツ田中ホールディングス・代表取締役社長CEOの坂本壽男氏は、この方針の背景をこう説明する。
「その地域にあったお客様への接し方を、一人ひとりが自発的に考えて行うからこそ、居心地のいい雰囲気を作り出せると考えています」(坂本氏)
マニュアル通りの対応なら、早晩AIに代替される。人間にしかできない「創意工夫」「感情的つながり」「臨機応変な判断」こそが、持続的競争優位の源泉なのだ。

「自分で考える」を可能にする仕組み
では、どうやって社員やアルバイトに「自分で考える」ことを促すのか。答えは、徹底的に設計された人事制度にある。
最も重要視されているのは、モチベーションの向上と離職率の低下。そのために同社が構築したのが、以下の3つの人事システムだ。
これらが組み合わさることで、「マニュアルを超えた接客」が自然発生的に生まれる組織文化が構築されている。順番に見ていこう。
「KTリーグ」は、全店約330店舗が参加して「顧客満足度を競い合う」社内リーグだ。特徴的なのは、全店舗を成績に応じて「KT1」「KT2」「KT3」の3段階に分割していること。
「リーグ設立前は、ランキング上位の店舗を称賛する場合、どうしても上位店舗が固定してしまっていました。それだと、下位の店舗は『上にはいけない』と負け癖のようなものがついてしまう。3部リーグ制にすることで、それぞれのリーグの店舗の上位を称賛できるため、承認欲求を高めることができるようになったのです」(坂本氏)
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