課長は相変わらずオンライン面談で緊張する。うまく話せているとは思えない。しかしデータを使って対話することで、部下との関係は良好だ。対人能力のコンプレックスも和らいできたという。
パワハラを恐れる前にすべきこと
パワハラが怖い。
その気持ちはよくわかる。しかし恐れる前に、部下指導の基本構造を理解しておくべきだ。それが「期待と褒めるのサンドイッチ構造」である。
まず期待を伝える。「君ならできる」「君の言う通り、テレワークのほうが生産性がアップするかもしれない」など、プレッシャーをかけるのではなく、可能性を信じる姿勢を示すのだ。
そして期待に応えてくれたら、すかさず褒める。「期待通りだった」「自分も勉強になった」といったように、謙虚な姿勢で褒めることが重要だ。
実は、この課長も意識していた。
テレワークで生産性が上がった部下には、データを示しながら褒めた。「やはり君の言う通りだった。在宅でも成果は落ちていない」。期待に応えてくれたことを認めたのだ。
一方、在宅で気が散ってしまうと本人が吐露したときは、自分の考えを伝えた。「集中できる環境づくりも仕事のうちだよ。作業スペースを分けてみたらどうかな」。データを使いながら、事実を淡々と伝え、改善策を提案した。
これが「イフゼンルール」だ。「もし〜なら、そのときは〜する」という条件設定である。期待に応えてくれたら褒める。うまくいかないときは状況に応じて対応を変える。
単なるミスや、覚えておくべきことを忘れていただけなら「指摘」。わかっているのにやっておらず、明らかに軽んじていているようなら「注意」をしようと決める。
このイフゼンルールを事前に部下と共有しておくと、なおいいだろう。そうすれば「なぜ指摘されたのか」「どうして注意されたのか」と相手も納得がいく。
感情的にならず、ルールに従って対応するだけで、上司は「パワハラだ」と言われることもなくなるはずだ。放置するのではなく、お互い約束事(ルール)を決めて対話を繰り返すのだ。管理職は、自分の身を守るためにも、ぜひ意識してもらいたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら