「パワハラと呼ばれたくない」…、注意できない上司が急増中? 部下を放置せず成果を引き出す「安全な」指導術

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部長は、過去の実績から課長のデータに基づいた管理能力を信頼していた。

「君がそこまで言うなら、やってみるか。ただし、管理は徹底してくれよ。データも必ず見せるように」

こうして部長にもテレワークを認めてもらった課長。部下にはその代わり、ある条件を提示した。

「生産性が本当に上がるか、一緒に検証しよう」

データを重視する部下たちは、この提案に飛びついた。ラクしたいわけではない。テレワークのほうが生産性が上がると思うからこそ、テレワークにこだわっていたのだ。

2カ月間、週2回のペースでオンライン面談を実施した。仕事に投入する時間と成果を計測し続けた。数字を見ながら冷静に話し合った。すると8月に入ってから、1人の部下が言い出した。

「オフィスのほうが生産性が高まる気がします」

課長が「実際にそうなるかどうか、分からないだろう」と言っても、「試してみたいんです。1カ月間オフィス勤務に変えていいですか?」と食い下がってくる。課長は提案を快く受け入れた。

「環境要因で生産性が上がるのか、下がるのか、実際に計測してみよう。データで確認すれば納得感があるだろう」

「はい! ありがとうございます」

部下の言う通り、テレワークの成果を検証することになった。もう1人の部下はテレワークを続けている。データ上、生産性は落ちていないからだ。

相手の特性に合わせた指導法とは?

この課長の成功要因は何か。

(1)部下の特性を観察した

(2)データという共通言語を見つけた

(3)一緒に検証するという姿勢を示した

この3つであろう。『わかりやすさよりも大切な話し方』で書いた通り、相手視点で話し方を変えるのだ。

この課長は、まず部下がどんなタイプか観察した。すると、たまたま自分も論理的に考え、データを重視するタイプだったので部下たちと相性がよかった。しかし、部下が違うタイプであれば、他の人に頼ったほうがうまくいったかもしれない。

いずれにしても大事なことは、相手視点で話し方を変えることだ。

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