試供品を“タダで大量ゲット”できる「ドラッグストアショー」に行ったら、《人の本質》を考えさせられた。なぜ人は“無料”に熱狂するのか?

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ウエルシア
「JAPANドラッグストアショー」の様子(筆者撮影)

事務局の発表によると、ドラッグストアショー3日間の入場者数は、昨年を上回る9万9510人と10万人に届きそうなほど。

8日はビジネス商談客のみ、9日はビジネス客と一般客の両方、10日は一般客のみなので、10万人から8日の入場者と9日の半数を差し引いた、のべ5万人ほどを仮に一般客と想定しよう。高校野球に沸いた阪神甲子園球場が4.7万人収容というから、甲子園からあふれる数のお客様が、無料エンタメに集まってきたということになる(むろん、ビジネス客でもサンプルは受け取れる)。

繰り返すが、本来はドラッグストア業界の展示会だ。夏休みど真ん中の3連休、アクセスが便利とはいえない立地、加えて不安定な天候。それなのに一般の5万人が群がってくる“無料”の磁力は強烈というほかない。

人が“無料”をこれほど愛するのはなぜか

人が無料を好む理由は、「決して損をしないから」だといわれる。人間は損を嫌う。特定のモノやサービスの対価としてお金を支払う場合、一番嫌うのが「実際に手にしてみると、期待した以下だった」ときだ。これだけのお金を払ったのに……とがっかりしたり、悔しがったり。商品レビューや店の口コミ評価が重視されるのも、「損をしたくない」心理によるものだ。

その点、“無料”なら「損をするのではないか」との心配はいらない。1円も払っていないのだから。「損失回避性」という心理をうまく突いているのが、無料という手法だ。

加えて、損を回避するだけでなく、対価を払っていないのにモノが得られたという快感、いわば「お得・ドーパミン」を味わうことができる。

ドラッグストアショーで配布されるのは生活に無縁なものではなく、コスメやサプリ、日用品や洗剤などの「使える」ものばかり。まさに戦利品だ。この物価高の時代、お金を使わずに生活必需品がゲットできたのだから、これほどうれしいことはない。タダでもらったモノが多ければ多いほど、お得快感も増幅していく。5万人超えの人間が集まる理由には、この快感があるのではないか。

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