疲労回復・酷暑疲れ解消・冷えた胃腸の温めに役立つ「夏ネギ」漢方に詳しい薬剤師が教える"超カンタンで効果がUPする摂り方"のポイント

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夏ネギは青い部分が多く、冬ネギに比べてβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンC、葉酸などの栄養が豊富です。柔らかく、生食に適しています。一方、冬ネギは白い部分が多く、夏ネギよりも味が締まっていて食物繊維、カリウム、葉酸が豊富で、煮ると甘みが増すため、鍋ものなどに適しています。

また、同じネギでも緑の部分と白い部分では、栄養価が違ってきます。

土を盛り上げ、日光を根元に当てないようにして育てた白ネギ(長ネギ、根深ネギなど)は硫化アリル(アリシン)を多く含むため、風味が強くなります。白ネギのような育て方をしていない青ネギ(ワケギ、アサツキ、万能ネギ、九条ネギなど)は、カロテンやビタミンCを多く含みます。

多くの方がご存じの通り、関東では白い部分を主に食べ、関西では青ネギを食べます。 関西人は「関東の田舎者は、ネギの白い根まで食べる」と笑い、江戸っ子は「関西人はケチだから、ネギの青いところまで食べる」と笑うという話が、江戸のころからあったそうです。

多くの薬効を持つネギ

ネギの白い部分を乾燥させたものを「葱白(そうはく)」といい、漢方薬の構成生薬として使われています。

中国で編集された『傷寒論(しょうかんろん)』を始めとする医学書には、葱白が含まれるいくつかの処方が載っていますが、現在、日本で保険適用になっている漢方薬には使われていません。

ただ、それだけでも多くの薬効を持つネギは、漢方の生薬としてより食用(民間療法)として重宝されてきた食材といえるでしょう。発汗や去痰(きょたん)、利尿、解熱、鎮痛、強壮作用などがあり、かぜの初期や喉の痛みなどに用います。

特有の臭いは刺激性の硫化アリルによるもの。体を活性化させる作用があるため、夏バテによる体力消耗を補ってくれます。硫化アリルはまた、体を温めて血行をよくする作用があるため、冷房により冷えた胃腸を温めるのに最適です。

ほかにも、消化液の分泌を促進したり、食物繊維が多かったりするため、夏バテによる食欲不振や便秘解消にも役立つでしょう。解毒作用もあるとされているので、薬味として用いれば、食中毒や感染症の予防も期待できます。

さらには精神面のバランスを整える作用もあるとされているため、不眠症や不安症なども解消するとされています。

ただし、体内に熱がこもりやすく、汗をよくかく人は、控えめにしたほうがいいかもしれません。また、薬効の大きい野菜なので、食べすぎにも注意が必要です。

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