この日はホストクラブを2軒回り、終電前に立ち寄ったのだそう。「一番うれしいのは、演奏をしてチップをもらえたとき。1万円いただけたこともあるんです」と笑顔をはじけさせた。
別の日の夕方には、ホストのルキさんとガールズバー店員のミサトさんの姿が。まずは小学生~高校までピアノを習っていたというミサトさんが、ややたどたどしい指使いで「エリーゼのために」を披露。
「忘れ去っていた記憶をたどりながら弾きました。また練習したいな」と楽し気な表情を浮かべる。
独学でピアノ歴3カ月というルキさんは、ショパンの「ノクターン」を完璧に演奏し、「都庁のストリートピアノも好きですが、ここのピアノも音色がいいですね」と涼しい顔だった。


イルミネーションも始めた
歌舞伎町の新たな名所として、ストリートピアノを定着させた藤沢さん。実は20年前から歌舞伎町の風物詩を支えてきた立役者でもある。それは、冬季の4カ月間、区役所通りを彩るイルミネーションだ。
街を明るくしたい、イメージアップにつなげたい、という思いで企画し、当時の区長に掛け合って実現させたのだ。費用はすべて寄付で賄い、もちろん藤沢さんは手弁当だが、大きなやりがいや意義を感じているという。
「みんな喜んでくれて、大した事故もなく20年間続けられています。最初は(イルミネーションを)チョキンって切られないか心配だったけど(笑)、歌舞伎町の人たちってきちんとしてるんだなって。この街のためにしたことを受け入れてもらえたのはすごくうれしいし、始めてよかったと思います」
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