ストリートピアノといえば、2025年3月に大阪の商業施設で騒動があった。同施設に置かれていたストリートピアノの公式Xが、「練習は家でしてください」「手前よがりな演奏は『苦音』です」と投稿し、誰でも弾けるのがストリートピアノでは、と大炎上したのだ。
チェックメイトビルでも練習は禁止にしているが、演奏待ちをしている人がいない場合は、黙認することもあるという。その理由を藤沢さんはこう話す。
「せっかく弾きたくて来てくれてるんだし、上から目線で『貸してやるぞ』じゃなくて、みんなで楽しもうねっていう思いがあります。だから、待っている人がいなければ、自由に弾いてもらっていい。そういう接し方でいいんじゃないですかね」
ルールを設けてはいるが、杓子定規に押し付けはしない。ピアノを弾く人や聴く人が笑顔になることを、できる限り優先している。何とも人情を感じさせる姿勢だ。
気持ちよく演奏してもらえるよう、定期的に調律も行っている。リターンのない出費にはなるが、藤沢さんは「弾いてくださるのが一番うれしいことだもの。皆さんに愛してもらえているから、いいんじゃない」と意に介さない。
ちなみに藤沢さんは、ピアノは「ドレミファくらいしか弾けない」という。習っていた時期もあったが、今では「聴くほうが好き」とのことである。
なぜあなたはピアノを弾きに?
実際にストリートピアノを弾きに来る方にも話を聞いてみた。深夜0時近くにやって来た大学生のリカさんは、ドイツの作曲家ブルグミュラーの曲を鮮やかに演奏。幼少期にピアノを8年間習い、その後は独学で練習を続けているという。

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