切れていた弦を張り替え、夜空と星をイメージして塗り替えたピアノは、「星に願いを」と命名。ロビーの天井に飾られた星座のステンドグラスと調和し、見た目にも華やかだ。月曜~土曜日の17~23時以外は、練習目的でなければ誰でも弾ける。

水商売風の男女や少し怖そうな方のほか、ユーチューバー、頭に手ぬぐいを巻いた現場作業員風の男性、タクシーの運転手、親子連れなど、実に多様な人びとが演奏するという。
「ピアニストを目指していたホステスさんとかね。それぞれのストーリーがあってピアノを弾くんだな、と感じています」と藤沢さんは笑顔を見せる。
ときどきロビーで演奏を聴いて、拍手を送ることもあるそうだ。

「歌舞伎町のど真ん中」にピアノを置いた結果
歌舞伎町という土地柄、ピアノが乱暴に扱われないかと最初は心配していたが、杞憂だったとも明かす。
「蓋をバタン! って閉めたり、おしっこをされちゃったりしたら困るな、と思っていたんです。でもピアノを毎日綺麗にしていると、皆さんも丁寧に使ってくれるの。道路だってちゃんと掃除していれば、ゴミを捨てるようなことはしないでしょう。そういうものよね」
確かに考えてみたら、ピアノを演奏する人は、楽器や音楽が好きな人だ。ピアノを大事に扱ったり、ルールやマナーを守ったりするのは当たり前なのかもしれない。長時間の独占禁止といったルールも設けているが、破る人はほとんどいないという。

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