学び挑戦し続けるピアニスト「ラン・ラン」の哲学 スペシャルインタビュー【前編】
不動の地位を確立した今でも学んで挑戦し続ける世界的ピアニストが持つ姿勢や哲学に迫った。
世界的なピアニストとして知られるラン・ラン氏。13歳のとき、仙台で開催された「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で優勝。その後、世界各国のオーケストラと共演して欧米メディアから高い評価を獲得し、北京五輪の開会式などいくつもの大舞台に立ってきた。
物心つく前からピアノに触れ、不動の地位を確立した42歳の音楽家はいま何を考え、何を目指しているのか。
新作CD『サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番、組曲《動物の謝肉祭》他』のリリースを機に来日した本人にキャリアの振り返りや展望、現在の関心など幅広く聞いた。
両親の口癖は「ナンバーワン」
──ピアノを始めたきっかけは。
両親の影響が大きいです。父は中国の伝統的な楽器、二胡の奏者で私にはピアノを弾かせました。
初めて鍵盤を触った日の記憶はありませんが、5歳のときに初めて人前で演奏したことはよく覚えています。弾いたのは、モーツァルトのピアノソナタでした。
私自身ももちろん音楽と演奏が好きでした。ピアノを始め、そして続けたのは、自分の意思と両親の「圧」の両方があったからです。当時、両親の口癖は「ナンバーワン」。経済的に豊かとはいえない生活の中で、私のピアノは家族の最優先事項でした。
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