口先だけの"ポッと出"の企業には真似できない…100年続く「老舗企業」が貫く《キレイごと》の凄み
しかし、100年企業の場合、顧客だけでなく、「社員」も大切にします。ときには、「顧客よりも『社員』を大切にする」のです。パートやアルバイトといった従業員についても同様です。
100年企業の現場を見学すると、口先のスローガンだけ立派な企業と大違いでした。「大切にする」の仕方が半端ではないのです。例えば、ずっと成果を出せない社員を辞めさせずに、給与を払い続ける。むしろ、そんな社員が長く働ける環境を整えようとします。
世界の企業をみれば、成果主義(業績給)を採用するのが一般的でしょう。一方、100年企業は固定的給与を選択します。社員が安心して生活を送り、落ち着いて仕事に取り組めるように、安定した収入を保障しようとします。
自社が原価割れしても「取引先の利益」を確保
ここで再び率直な疑問が出てくるのです。
そんなに給与を払って、利益は出るの?
意地悪な言い方をすれば、「儲かってるから、そんなコトがやれるんじゃないの?」と勘繰ってしまいます。しかし、100年企業は、もっとしたたかに、「その先」を読んでいます。「従業員を大切にするから、利益が出る」、そう言います。
従業員が長く働き続けることで、企業としての「競争優位」が生まれる事業構造を確立しているのです。長い歴史のなかで、そうした事業構造を確立させています。
続けてこうも言います。「従業員を大切にしたい、その想いからアイデアは生まれてきたのだ」。
鶏が先か、卵が先か。論語とそろばん。
「どちらが先で、どちらが大事か」ではなく、「どちらも同時にある状態」を求めることが、100年企業の経営システムの起源といえるようです。
驚くべきことに「キレイごと」はまだ続きます。100年企業は、社員だけでなく、取引先(仕入れ先)にも同じような姿勢を打ち出すのです。
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