(第42回)公的主体の介入は産業改革を阻害する

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朝日新聞(12年3月19日付)の集計によれば、02年以降、1億円以上の補助金で誘致した企業のうち、10年以内に撤退・縮小したケースが23件あり、総額200億円の補助金が支出されていた。

市場のシグナルが常に正しい方向を示しているとは限らない。しかし、公的主体の判断が市場より優れている保証もない。実際には、誤っている場合のほうが多いのである。その事業に関して必ずしも専門的知識を持っているわけではない地方公共団体が、変化の激しいエレクトロニクス産業の動向を適切に把握できないとしても、当然だと考えざるをえない。

国営企業を整理した中国の経験に学ぶ

日本は、1950年代から60年代にかけて、農業から製造業へ、農村から都市へ、石炭から石油へという大きな経済構造の転換を経験した。

もちろん、これらがまったく摩擦なしで実現したわけではない。たとえば、炭鉱の閉鎖は、激しい労働争議を伴った。しかし、結局は実現できた。それは、経済が全体として成長していたからだ。炭鉱労働者が炭鉱を離れても、他の分野で職を見出すことができたからだ。成長する経済で産業構造の転換を行うのは、それほど難しいことではないのである。新しい分野が雇用を増やすことによって、自然に経済構造を改革できる場合が多い。

しかし、経済成長が止まると、こうしたメカニズムは機能しなくなる。現在の日本で産業構造の転換が難しいのは、経済が成長しないからである。

中国も、この20年間に大きな変革を経験した。中国の場合には、これまで何もないところに新しい産業ができたので、調整のコストを負担する必要はなかったような気がする。

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