(第43回)中国の経済改革も市場の力を使った

(第43回)中国の経済改革も市場の力を使った

前回述べたように、中国の経済改革では、国有企業の整理が重要な課題だった。1970年代までの計画経済の時代には、工業生産のほとんどが国営企業によって行われていたわけだから、その整理はきわめて困難な過程であった。

まず第一に、国営企業が株式会社化され、国有企業となった。つまり、所有と経営が分離されたわけだ。計画経済時代における国営企業は、政府の指令を執行する機関にすぎなかった。利益をすべて上納するかわりに損失は補填されるため、生産性を向上させるインセンティブがなかった。それに対し、国有企業は経営権を持つ独立組織であり、国は出資の範囲内で利益を得、責任を負う。

つぎのステップは、これを民営化することである。これは、90年代半ば頃から、「抓大放小」(大をつかまえ小を放す)という方針に従って行われた。つまり、基幹産業の大企業は国家が所有するが、中小企業は民営化するという方針だ。

中小国有企業の民営化は、主としてMBO(経営者が自社を買収して独立すること)で行われた。これは、直接的な市場メカニズムの活用だ。

大型国有企業についても、政府は90年代後半以降、上場を推進した。そして、98年に、朱鎔基首相(当時)が経営不振の国有企業の破綻処理と、レイオフを通じた大胆な人員削減を実施した。

90年代末には、国有商業銀行の不良債権が深刻な問題だったが、不良債権が蓄積された大きな原因は、国有商業銀行が国有企業への資金供給の責任を負っており、そして国有企業が非効率的だったことにある。政府はこの問題に対処するため、国有商業銀行に公的資金を注入し、AMC(金融資産管理公司)を4社設立して不良債権を買い取り、処理した。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 越湖信一のスーパーカー列伝
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショックの大波紋
  • コロナショック、企業の針路
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ徹底検証<br>日本は第2波に耐えられるか

米国やブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、日本は感染者も死者も圧倒的に少ない。その理由はいったいどこにあるのでしょうか。政策面、医療面から「第1波」との戦いを検証。「第2波」への適切な備え方を考えます。