(第43回)中国の経済改革も市場の力を使った

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われわれが中国経済を見るとき注目するのは、民営化され自由化された消費財産業だ。企業名でいえば、連載でも取り上げてきたフォックスコンやアリババなどに目を奪われる。この分野では、これまで見てきたように、きわめて多数の企業が激しい競争を繰り広げている。しかし、それは経済の一部分にすぎない。

中国流の混合経済体制

経済の基幹部門・戦略部門は、依然として公的企業によって担われている。『中国市場戦略』(エドワード・ツェ著、日本経済新聞出版社)によると、公的企業は、企業数では全体の27%を占めるにすぎないが、グロスの工業生産額では全体の45%を占め、利益では53%を占める。

公的企業の中でもとりわけ重要なのが国有企業であり、150社前後存在する。中国の大企業はすべて国有企業であり、売上高の上位20社はすべて国有企業である。

政府が戦略産業と見なしている分野は、国有企業によって独占、またはほぼ独占されている。具体的には次のとおりだ。通信サービスは、中国電信、中国移動、中国聯合網絡通信によって独占されている。石油・天然ガスは、中国石油化工(シノベック)、中国石油天然気(CNPC、なおペトロチャイナはこの子会社)、中国海洋石油によって独占されている。このほか、自動車製造、送電、建設、運輸、鉄鋼、金属の各分野が国有企業によって独占されている。

金融業では、90年代の初めから現在までの間に、所有権の自由度も市場の自由度も、大幅に高まった。このため、14の外資金融機関と191の外資金融機関支店がある。しかし、工商銀行、中国農業銀行、建設銀行、中国銀行の「4大国有商業銀行」が、依然としてずばぬけて大きなシェアを持っている。

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