一帯は東京が東京府だったころから遊歩道が整備され、1974年(昭和49年)に、世田谷区立等々力渓谷公園として開園した。その後も計画区域内の整備が進められ、現在は公園を含む3.5ヘクタールが、東京都文化財保護条例によって「名勝」の文化財指定を受けている。


世田谷区には古墳がある
等々力渓谷で真夏の涼を楽しんだあと、等々力駅方面に戻った。本来であれば真夏のギラつく太陽を木々の木陰がゆるめてくれる渓谷の底を歩いて駅に向かうことができるのだが、現在は倒木工事のためにそれがかなわない。高低差10メートルの階段を登り、そこから日差しにさらされて歩く。
途中、等々力のもう一つの名所、「野毛大塚古墳(世田谷区野毛1-25)」を見ることができる。世田谷区立玉川野毛町公園にある全長82メートルの帆立貝式前方後円墳だ。濠を含めると全長104メートルで、関東地方では群馬県の女体山古墳に次ぐ規模なのだという。
前方後円墳というくらいだから、仁徳天皇陵のような鍵穴の形を期待したのだが、こちらはちょっと違う。「帆立貝式」の名の通り、「円」の先に少しだけ「方」が付いている。
古墳は誰もが行き来できる公園の中にある。前後に子どもを乗せたお父さんの自転車が、盛り上がった緑の小山を横目に過ぎていく。なかなかに牧歌的な風景だ。

住む場所に何を求めるかは人それぞれだ。私はこれまで、自分が住む場所について、特段のこだわりを持ったことはない。学生の頃は学校からの距離。結婚してからは妻の言いなりだ。
ただ、歳を取って、いくつか欲が湧いてきた。その筆頭が、「気持ちがザワついたときに散歩できる場所が近所にあること」だ。
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