石破首相退陣後の自民党の総裁選は単なる権力交代では不十分だ。国民は骨太の政策論争を求めている。

石破茂首相が、ついに9月7日の記者会見で退陣を表明した。7月20日の参議院選挙以来、スローモーションを見るようなスピード感で続いてきた「石破降ろし政局」が終わり、誰が自民党の新総裁になるのかに話題が集中している。
しかし、総裁選を経て新政権が成立するだけで、自民党が立ち直り、日本の政治が前に進むのだろうか。衆参両院で少数与党であることがよく指摘されるが、それ以上に、何をやりたいのかわからない政権、政党、政治のあり方が国民から愛想を尽かされているのではないか。
石破首相は「政治空白をつくらない」ために退陣表明をしなかったとしている。自民党内の反石破派は、石破政権の継続自体が「政治空白」だと批判してきた。しかし、政治家が何をすべきかという骨太の政策論争抜きで、いたずらに時間を費やしたことについては、双方に責任があるのではないか。
石破首相の責任を問う声は「選挙に敗北した責任を取れ」と言うばかりで、何がよくないのかという点の議論に進展しなかった。石破降ろし政局に対して、自民党支持者を含めて多くの国民が冷ややかだったのは、石破首相を支持するというよりは、理屈抜きでとにかく次の総裁を選ぼうとする自民党の動きへの嫌悪感が強かったからではないか。日本をどうするのかという政策の大枠についての議論なしに、現在の閉塞感は解消しないだろう。
「アジェンダ設定の不在」が国民の不信感を増幅
期待された自民党の体質改善に取り組まないとか、国民の意見を聞く姿勢が弱すぎるなど、石破政権の問題点はいくつかあった。しかし、本格的な「アジェンダ設定の不在」こそが、政権や自民党への国民の不信感を増幅したのではないか。このアジェンダ設定とは単にどの問題を取り上げるのかだけではなく、どのような視点から問題を把握して、どの方向で解決していくのかという要素を含んでいなければならない。
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