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〈エネ庁が陥った隘路〉三菱商事の撤退で皮算用が崩れる、「洋上風力総崩れ」をおそれた一律支援は批判必至

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武藤経産相
武藤容治経済産業相(中央)は、3海域の洋上風力発電プロジェクトからの撤退報告を三菱商事の中西勝也社長から直接受けた(記者撮影)

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「日本における洋上風力導入に遅れをもたらすものであり、たいへん遺憾である」

武藤容治経済産業相は渋い表情を浮かべていた。相対していたのは三菱商事の中西勝也社長だ。洋上風力発電プロジェクトからの撤退を発表した8月27日、報告のため経済産業省を訪れていた。

三菱商事を中心とする企業連合が、秋田県沖と千葉県沖の3海域のプロジェクトからの撤退を決めたことは、経産省資源エネルギー庁にも大きな衝撃を与えた。エネ庁は近年、大量導入やコスト低減が可能だとして、洋上風力の導入に心を砕いてきたからだ。

2021年4月に当時の菅義偉首相は、30年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減すると発表した。これにより削減目標とエネルギー政策の整合性を取ることが課題となる。

思惑どおり進んでいるはずだった

だが、肝心の「脱炭素電源」の拡大には課題が山積していた。原発の活用には厳しい目が注がれ、普及が急速に進んだ太陽光発電は再エネ賦課金などの国民負担に目が向けられるようになっていた。そうした中で存在感を高めたのが洋上風力だった。

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