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洋上風力発電、欧米で相次ぐ撤退、巨額減損の背景 インフレと金利高騰が直撃、落札企業ゼロも

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イギリスの洋上風力発電施設(ロイター/Phil Noble(Britain))

洋上風力発電は洋の東西を問わず、脱炭素化実現への切り札である。大規模で出力が比較的安定し、景観・騒音問題が生じにくい。産業・雇用効果への期待も高い。日本はヨーロッパなどに遅れてのスタートとなったが、一般海域を長期間占用できる「再エネ海域利用法」が2019年4月に施行され、入札による発電企業の選定が進められている。

こうした中、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とするインフレーションやサプライチェーンの混乱により、先行する海外で落札案件の中止や企業が巨額の評価損を計上する動きが出てきている。一方、直近ではイギリスなどでインフレに配慮して入札条件を見直すといった動きも現われている。

前編と後編の2回にわたり、欧米での洋上風力の現状とインフレや資材高騰などの日本への影響について考察する。前編の今回は欧米における洋上風力の発展の経緯と最近の事業環境悪化の背景について検証する。

再エネの切り札としてヨーロッパで急速に普及

洋上風力はヨーロッパでは1990年頃から開発が始まり、2000年代に入ると大規模ウィンドファームが登場した。2010年以降になると売電価格の低下が始まり、2006年のオランダでの入札では初めて落札価格が発電量1メガワット時当たり100ユーロの水準を切った。そして間を置かずに50ユーロ前後の事業が登場し、落札価格が卸電力市場価格と同水準になることも珍しくなくなった。

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