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期間を定めず「放牧」、既存ビジネスに対して仮想の敵をつくる…破壊的イノベーションを生み出すための具体策

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慶應義塾大学名誉教授の冨田勝氏は、破壊的イノベーションの創出をめぐって「放牧」という概念を掲げる (写真:kattyan/PIXTA)

破壊的イノベーション創出のために「放牧」を

日本経済をめぐっては「失われた30年」と言われて久しく、インターネットテクノロジーに関するビジネスにおいて、日本は北米の後塵を拝してきた。そんな中、大企業がこぞって新規事業開発に取り組んでいるが、まだまだ「破壊的」と言えるほど社会に大きなインパクトを与えているイノベーションを目にする機会は少ない。

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その理由については、8月8日の配信記事「"教科書通り"が阻害する『破壊的イノベーション』」で、教科書通りに穴埋め問題を解くように新規事業開発を進めていけば、「今ある製品・サービスをより良くする=従来よりも優れた機能を実現して、既存顧客のさらなる満足向上を狙う」持続的イノベーションは生まれるかもしれない。しかし、「既存の主要顧客には性能が低すぎて魅力的に映らないが、新しい顧客やそれほど要求が厳しくない顧客にアピールする、シンプルで使い勝手が良く、安価な製品やサービスをもたらす」破壊的イノベーションにつながらないと紹介した。

つまり、既存の主要顧客ではなく、新しい顧客を発掘するとなると、最初は「ホラ吹き」や「クレイジー」な存在に見られるとも記した。では、最初に事業のアイデアを話したときに、「そんなもの、うまくいくはずがないだろう」と言われてきた人たちは、どのように破壊的イノベーションを生み出してきたのだろうか。ここでは具体的なアプローチを紹介していく。

1つめのポイントは、前回も紹介した慶應義塾大学先端生命科学研究所の初代所長であり、連続的に先進的なバイオベンチャーを生み出している冨田勝名誉教授に学ぶことができる。同氏は、破壊的イノベーションの創出をめぐって「放牧」という概念を掲げている。

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